[キットレビュー]Master Box 3571 “Who’s that?”

    留学中で模型は作れないながら積みが極々スローペースとはいえ増えるのを見ると、モデラーとしての業の深さを思いしらされるような気分になります。 さて、今回はマスターボックスの1/35フィギュアセットを見てみようと思う。実は四谷仙波堂さんに入荷するよりも早く手元にあったこのキット、実にマスターボックスらしい良い感じなので記録。

    MASTER BOX "3571 Who's that?" -1例によって大変素晴しい箱絵。絵師は毎度の如くA.Karaschuk氏。「誰だ?」或いは軍隊調に「誰何?」とでも訳すべきだろうタイトルにピッタリのシチュエーションの描き方は流石。デジカメで撮った時に右側の暗闇にいるソヴィエト海軍歩兵が潰れてしまった物の、ちゃんとそれぞれ人相が欧州系白人とスラヴ系白人で描きわけられているのお見事という所。この箱絵の面白い所は、コートを着ているドイツ兵がKar98kのボルトを引いていて、それを将校が諫めている構図になっている事。対照的に暗闇の中の海軍歩兵達は音が出るような行動を一切描いていない。恐らく独ソ両軍知らず知らずに壁一枚挟んだ状態まで近付いていて、コートを着た彼のボルトを引いた音で海軍歩兵が止まった、って事なんだろうなぁ。それを裏付けるかのように海軍歩兵側の指揮官は片手を上げて止まれのサインをしている。勿論手を上げるだけなら音は出ないからね。どうやら同時にドイツ側先頭の彼も腰を低くし、銃をすぐに打てるような構えを取っている事から気配に気付いているんじゃないかな。

    MASTER BOX "3571 Who's that?" -2

    ヘッドの拡大。これは海軍歩兵のうちの一人。ご覧の通り凄く良い顔をしている。放齢線の入り方、口の突き出方、そして何より瞳の入り方の素晴しい事ときたら感涙物。どこなく不安そうな表情の、「どことなく」という部分をしっかり再現しているのは本当に見事としか言いようが無い。正直ここまでハッキリした顔が付属するのならヘッドを交換する必要も無いなぁ、というのが正直な印象。勿論ホーネット等別売のヘッドの出来が良いのは認めるし、あの表情の豊富さは本当に感心するけどもさ。

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    こちらは注意しているドイツ将校の顔。1/35らしく多少デフォルメされている物の、注意している様は非常に良くわかる。口元の造形がしっかりしているのがマスターボックスの良い所なのかな、と思ってみたり。目をしっかり開いている為上の不安顔と全然顔付きが変わっているのが素敵。写真だと若干目の彫刻が浅く見えるけれども、実際見てみると結構深くて塗装に問題は無さそう。実はコイツ、横から見ると結構な鷲鼻になっていて面白い。

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    このキットの頭の中で最高の出来だと思うのはコレ。暗闇で片手を上げて仲間を制している海軍歩兵指揮官のヘッド。ザ・スラヴ系と言わんばかりの口まわりのライン、瞳、骨格、全てが最高。緊迫した雰囲気を称える目元の造形も文句の付けようが無い。金型の関係か比較的耳のモールドが潰れていないのもポイント高し。勿論マスターボックスの常として、割と豪快なパーティングラインが顎に沿って入っているのだけども、まぁこの顔を見せられたら気にならないかな、というレベル。ちなみに頭にはウシャンカを被っておます。

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    気になる服のシワの入り方、とくに原型師の癖が強くでるズボンのシワはこんな感じ。悪くない。キッチリ皺が流れているのがわかるし、リズムも満足できるレベル。ただ、縫い目等のモールドがあるにはあるのだけど消えかけているので、描くかパテでの修正、あるいは完全に無視してしまうのが精神衛生上宜しいかと。MBのWork in Progressリストに白黒で掲載されたりする原型ではしっかりモールドが入っている所から考えるに、この微妙にトロけたようなキットのプラは極々単純にMB社の金型技術と成形技術の限界なんだろうなぁ。ドラゴンとか田宮クラスとまではいかないまでも、せめてMiniartレベルの技術があればもうちょっとパッキリしたモールドになるような気がするのだけれど。

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    ビックリしたのはこのドイツ側ピークドキャップの造形の素晴しさ。勿論前面の徽章のモールドは今一ヌルいのだけれど、形状としては今まで見たドイツ側ピークドキャップとしてはトップクラスだと思う。急角度で下がった目庇、クラウンから鉢巻にかけてのやや盛り上がりながらも鉢巻のラインとほぼ直線で繋る形などドイツらしい雰囲気の再現は非常に良い。ヤスリで背の部分を削り、鞍型に成形してやると最高かもしれない。正面から見たフォルムも幅が広すぎずスマートな雰囲気を損なっていない。

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    形状把握の上手さ、巧みさのような物はこちらの山岳帽でも発揮されているように思う。M43規格帽と比較して高いトップと小さめな鍔という山岳帽のライン、実に上手く再現されているように思う。ドラゴンの往々にして大きすぎる帽子と比較すると、ラインは非常に正確であると言って良い。実際、前面に徽章を付けた状態のM43/山岳帽のラインの特徴である、前面のボタン前で全体がグっと凹み、結果として頭頂部が楔形に出っぱるラインの再現は非常に流麗。ただし、ただし残念ながら全体的にエッジ等ヌルい。本当にヌルい。前面のフラップの合わせの段差は(写真では写っているけれど)実際はほぼ消えかけているし、 国家鷲章のモールドは(あったんだろうけど)消えてるし。まぁ、今はデカール等で再現できるから良いのかな。

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    ドイツ側、コートを着ている彼の上半身パーツ。モールドは比較的アッサリで、サスペンダーのモールドなんかはちょっとヌルい。まぁ、マスターボックスらしい、っちゃあらしいような気もするけども。見てわかる通り、ベルトのバックルのモールドは見事にトロけているので、ドラゴンGen2付属のエッチングに置き換えるとピリっとするんじゃないかな。階級章はベッタリで、浮きを再現しようとかそんな努力は全く無し。こちらもエッチング置換か塗装か無視だろうなぁ。腕と接着してみないと何とも言えないけれども、肩幅やなんかのバランスは悪くないと思う。

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    その他頭はこんな感じ。クオリティは実に高い。全員の人相がキッチリ違うのはやっぱり嬉しいね。以前のドラゴンのようにスマイル顔が6つ入ってたりしないのは非常に良心的だと思う。難点としては、まぁマスターボックスに限った事では無い物の、耳周りのモールドのヌルさ。これはもうインジェクションの宿命みたいなものであり、それを克服しようとドラゴンがgen2であの脳天幹竹割りをやったわけだし。それともう一点。これはマスターボックスの原型師であるA.Gagarin氏の癖なのかもしれないけども、全体的にヘッドに首の造形が無い。薄いプラバン一枚噛ましてちょっとだけ首を延長するか、顎の骨格を削り込んで首の部分を作ってやるべきだと思う。

    武装はヌルい。非常にヌルい。その他装備もピリっとしてるとは良い難い。そもそも自分の箱にに入っていた銃のランナーは、PPShが一丁折れてたし。流石は東欧系メーカーって所でしょうか。MP40アモパウチが体にフィットするように緩やかな曲線を描いているのは有り難い。その他の装備品は恐らく各社のコピー。マスターボックスは原型写真の時点でプラ製の、他のメーカーの装備を持っているので多分そのまま金型作ってるんだろうなぁ。

    非常に高い箱絵のクオリティと出来の良い顔が付属、しかも裏の完成写真を見る限りプロポーション等もグッド。これは是非買うべき。特に箱絵は感動する事請け合い。

    じゃあ今日はここまで。


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