Tamiya Model Magazine International Issue 192– Oct, 2011

    先日Twitter上で模型雑誌についてここの所思っていた事をツラツラと書き並べまして、それをTwitter上での発言をまとめられるサイトであるTogetter上で纏めました。あくまで大変に主観的な物の話でありまして、正論を吐いている、であるとか、これが真実!なんて事はとても思ってはおりませんが、まぁ何か話のタネにでもなれば良いかな、と思っております。御興味御座いましたらどうぞ

    さて今回は先日エドモントンを南に150km程下った所にあるレッド・ディアの街に行った時に購入した、タミヤモデルマガジンインターナショナルの2011年10月号をご紹介。かなり買いな号かと思います。

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    表紙はこんな感じ。見事な出来の二号戦車がお出迎え。パイントサイズパンツァーの煽りが示す通り、この二号戦車は実際1/48。とてもそんなスケールを感じさせない見事な出来で、これだけで買う価値が十分にあるかと。その他はタミヤ1/35のオースティン・ティリーを使用した、郵便配達が今正に郵便物の回収に来た瞬間のジオラマである”Going Postal”、キネティック・モデル(Kinetic Model)の新作1/48 であるS-2E/S-2G Trackerを使用したジオラマの”The Stoof of Dreams”、ドラゴンの1/35 M4A2シャーマンを使用して南国の情景を鮮やかに作り出した見事なビネットの”Come on In, The Resin’s Lovely!”、レベルのF1キットである1/24 Mercedes GP Petronas MGP W01の綺麗な作例、そしてSimil’Rの1/24 Ford Focus RS WRC 2010の作例となっております。総合模型雑誌らしく、戦車、航空機、カーモデルとバランス良くカバーしているのは流石という所でしょうか。

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    表紙になっている二号戦車はこの通り、1/48だけあって殆どエッチングの使用は無し。キャタピアもタミヤの物そのままだし、せいぜいがOVMのクランプやらフックやらの極々限定的な物のみ。砲身もフェンダーもプラスチックのまんまと金満スタイルには背を向けているようなスタンスが非常に好み。溶接跡の追加もしてないしね。このあたりの所謂アフターマーケット供給のパーツをどう使うか、ってのは勿論スタンスがわかれる所だけれども、個人的にはこの極々限られた、実際効果的な部分だけにエッチングを使うスタンスには好感が持てる。何でもかんでも金ピカにする必要は無いと思うんだ。勿論そのフルエッチング山盛り、みたいな物を否定するつもりはまったく無いんだけれども、エッチングで金色になっていない=イマイチ、みたいな風潮は打破されてしかるべきだと思うんだよね。

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    そしてこの海外スタンダードとも言える塗装の出来の見事さ。1/48というスケールを感じさせない繊細な出来には溜息が出そう。それでいて塗装法としては何も奇をてらった事はしていなくて、タミヤアクリルで暗色→明色と塗り分け、Futuerのワックスを塗った跡にデカールを貼り、艶消しを吹いて油彩、ピグメント、そしてエッヂに鉛筆と大変にオーソドックスな仕上げ。それでいてこの精密感は矢張りお見事と言うしかない。飛び道具的な扱いのカラーモジュレーションも最近の流行りだけれども実際の所技法がどうというよりも完成品さえ素敵ならばそこに外道も正道も無い、って事よね。模型に何のセオリーもスタイルも必要なにんじゃないかと思う理由はそこ。

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    だがこの号の真髄は、白眉は、主役こそは、↑の二号戦車ではなく、このシャーマンを使ったジオラマであると主張したい。大音声で声高に主張したい。これを見た時に感じたときめき、或いはワクワク感こそが模型の持つ可能性とセンスオブワンダーなのではないかと主張したい。確かにシャーマンという戦車がいる。間違いなくこれはAFVを作った作例である。ただしそこからいっさいの考証であるとか、時代背景であるとか、そういった物を全て剥ぎ取って、ただただオブジェクトとして配置しているという点で、全く完全に一般的な、戦場の情景たるジオラマとしては異質なのだと主張したい。突き詰めればこのシャーマンはシャーマンである必要すらなくて、或いは唯の岩コロでも良い。朽ちた難破船でも良い。それが戦車でなくても良い、見る物に余計な知識が全く完全に必要ないという点でこのジオラマはどこまでも異質でどこまでも素敵なのだと思う。素直に凄いと思えるジオラマってこういうのじゃないのかな、とも思う。やれシャーマンの型式がどうだ、とか。ここの寸法がどうだ、とか。軍服の考証がどうだ、とか。そんな事は結局枝葉末節にすぎない、そう思える素敵な物だと思う。

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    確かに製作記事の中で、作者は「キットには幾つか間違いがあるので修正した」と書いているものの、それに続けて曰く「でも正直直した所なんて水が覆っちゃってるから殆ど見えないよね!」とも書いてある。つまりはデティールについてのどうこうなんぞこのジオラマではあまり意味が無い事を自分から認めているわけで。即ちやれエッチングだ、やれカステンだフリウルだ、ってのを越えて、それでも作品としてどこまでも素晴しい物が作れるよ、見る側に何の知識も実は要らないんだよ、と、そう語っているのではないかと思えてならないわけで御座います。それでいてこの塗装の見事さはどうだ、と。小さかった頃親につれられて旅行したサイパン島の海で、飛行機の上から見た物とそっくりではないか、と。潮風に晒された戦車の色とは正にこれだ、と膝を打ったわけです。クリアレジンで作られた海も実はかなりとんでもない事やってて、キャタピラの間に魚がいたり、表面がまっすぐでなかったり、気泡が僅かに入れてあったり、と色々やってるんだなぁ。

    総じて大変に満足度の高い号でありました。是非買って欲しい。何とかして。是非見て欲しい。

    じゃあ、今日はここまで。


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