烏克蘭

    先月末に一ヶ月間のウクライナの古都たるリヴィウ(ルヴォフ/レンベルク)における研修も終了致しまして、この茹で上げられるが如き日本の暑く、湿った重たい空気の中を、まるで泥中を泳ぐかのような気分で過す日々が戻って参りました。ここ数年間春と秋という日本の一番軽快で洒落た季節に接していない為、どこか切ない気分を味わっております。とはいえ模型は目の前にあるし筆もある。ならばモデラーたる物手を動かさねばなるまい、そう思って早速チマチマと作業は進めていたりするのですが。

    IMG_6684リヴィウは大変に面白い街で御座いまして、東欧の都市ながらどこか西欧の、例えるなら昔一月ばかり研修を受けたロンドンの旧市街にも似た雰囲気を湛えておりました。長らくポーランドやオーストリア・ハンガリー帝国の支配下にあった為でありましょう。それでいて、そういった西洋的、より強く言うのならゲルマン的な町並みの中に、まるで当然のような面をして、どこかソヴィエト・ロシア的な雰囲気を持った建物も街中に点在し、ある意味で非常に混沌としながら独特の空気を持っておりました。ちなみに良く日本の、特に都市部の景観を破壊する物として槍玉に上がる事の多い電柱と電線で御座いますが、少なくともリヴィウにはあまりなく、その代わりに建物自体にワイヤーとアンカーを打ち込み、柱無しに頭の上を電線が飛び回っている、という状況になっておりました。個人的には電柱方式の方が余程スマートかと。

    街、というか国家として物価は非常に安く、我々のような所謂西側の人間には金銭的に有利な国で御座いました。例を上げればCD一枚30フリヴニャ(300円)、ソーセージ1kg約50フリヴニャ(500円)、DVD一本65フリヴニャ前後、といった所。それでいてソヴィエトの時、東側の象徴たる旧いラーダと新型のベンツが同じ道を走っていると行った、国の中の貧富の差も中々に印象的で御座いました。

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    途中二日だけクィーウ(キエフ)にも旅行に行きまして、当然軍事ヲタ/モデラーとしては行きたい所である大祖国戦争博物館にも行って参りました。かくの如き巨大な像、正にソヴィエト/社会主義国家的イコンと呼べる物でしょう。敷地に入ってすぐの所に、既にラッチュ・バムが8門だか12門だか並べてあるのには度肝を抜かれましたが。興味深いのは、独立後のウクライナが何かにつけ非ロシア化を国策として進めたにも関わらず、博物館の展示物自体は完全にソヴィエト・ロシア的かつソヴィエト的史観、所謂ファシズムよりも優れた社会主義思想と人民の勝利、という点を強調したままになっている事。流石に建物に入った直後にある兵士の立像の背景に掲げられている旗は独立ウクライナの国旗になっておりましたが。昔は赤旗だったんだろうなぁ。

    クィーウはどこかロシア的な雰囲気を持っている街で、我々の想像する共産圏、といった感じの町並みが続く中心部はリヴィウのそれと見事な対比を生み出しておりました。言語的にもリヴィウが恐しい程にウクライナ語圏なのに対して、クィーウはロシア語が優越している街で御座いまして、レストランの注文も基本的にはロシア語。ある小さなレストランに入った時などメニューすらロシア語で御座いました。噫無情。

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    ところで、モデラーという奴は、例え何処に行こうとも模型店を探すような習性が有るように思うわけで御座います。少なくとも手前にはそのケがありまして、イギリス、カナダと手前がモデラーとなって後に訪れた国では悉く模型店を探し出し、その国の経済への微々たる貢献、即ち買い物をしきた訳で御座います。当然その習性が、例え言語的文化的にも全く異なり、手前の言語能力では日常会話にすら問題が発生するウクライナに行った程度で変質を遂げ得る物でありましょうか?答は明快に「否」なのであります。

    IMG_6699というわけでお邪魔させて頂いたのはリヴィウにおける唯一の模型店「A-Z-Models」さん。街の中心部、路面電車が通っているドロシェンカ通りをイヴァン・フランコ名称リヴィウ国立大学の方向にズーッと行った先にあるドロシェンカ通り60番地に御座います。住所的に言うならば”вул. Дорошенка,60″に行き、そこの集合住宅のドアについているナンバーロックを923の同時押しで開け、正面にある階段を昇らずに中庭に出て、左斜め前に見えている廊下に入り右を向くとこんなドアが御座いまして、間違いなく閉まっている事でありましょうが臆せずドアを開ければ一枚目の写真のような模型店に到達する、とそんな塩梅になっております。

    品揃えとしえては非常に独特。全ラインナップ揃ったマスターボックスのフィギュア群、矢張り充実したミニアートとスヴェズダ、見た事も無いようなチープな東欧キット達、そしてやけに揃っていたハセガワの航空機。塗料に目を向ければダンボールに無造作に放り込まれたハンブロールの缶達、随分揃っていたタミヤアクリル/エナメル、そして以上に充実したアルクラッド。何というか、矢張り所変われば品変わるという言葉は真実なのだ、そう思い知らされた空間でありました。ちなみに店番をなさっていた若いお姉ちゃんは英語が通じました。ウクライナ語を勉強している、と伝えた所ウクライナ語で喋らされましたが。後日再び訪問した所、その方の姉で、英語をリヴィウで教えていらっしゃるという女性にお会いしました。手前の英語の発音に対して大量のイチャモンを下さりましたが、ではそちらの非常に強いウクライナ訛りはどうなんだ、と言わないだけの分別を持っていた己に感謝感謝で御座います。

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    上の行き方の説明でも書きましたが、向こうの建物らしく中庭を囲った正方形の建物の中にある為、通りからは存在が全く見えないばかりか、あまつさえ勇気を振り絞りその住所に存在する建物の中に入ってA-Z-Modelsさんの窓を見てすらこの行方不明感。良く良く目を凝らすと見慣れたイタレリマークとドラゴンの新製品案内ポスターが貼られているのが見えるかと思われます。このイタレリマークがなければ間違い無くこの中庭に入った後ですら発見できなかった自信がある程度には判り辛い位置にある模型店で御座います。リヴィウに寄った際は覚悟を決めて訪問してみると、中々に楽しいラインナップを見る事が出来るんではなかろうかと。ちなみに手前は3週間を発見までに費し、ミグのAK-InteractiveのDVDを購入致しました。

    その他ウクライナで撮って来た写真群はこちら。御笑覧あれ。

    そんなわけで日本に戻ってきております。ブログの更新頻度が…上がるかな?

    じゃあ、今日はここまで


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