カラーモジュレーション技法についての考察

    この考察を書いている間に大分状況が変わってしまい、この技法自体への認知が広まってきている上、カラーモジュレーション技法を取り巻く状況も変化してきているのでこのエントリは話半分程度に受け取って下さいませ。何せ一年近く塩漬けにしていたエントリで御座います故。

    カラーモジュレーション(以下”CM”と表記)という技法がAFVの塗装技法として御座います。ちょっと日本の状況が分からないので何とも言えない物の、まだ日本ではそこまでポピュラーじゃないんじゃないだろうかと勝手に思ってる技法。極々分かりやすい例で言うと、以前AFV Modellerに掲載されたアダム・ワイルダー氏のパンターF。これが一応CMの始祖という事になっているらしい。自分もAFV Modeller読んで衝撃を受けた記憶がある。

    あまりまだ日本では広まっていない技法のようなのでザックリ解説すると、非リアルである事を承知しつつ塗装「面」に対して光を意識した段階的なグラデーションをかける技法。つまり実車ではダークイエロー単色であるべき面を、下から上に向けて暗いダークイエロー、ダークイエロー、明るいダークイエロー(矛盾した言い方!)のグラデーションで塗装する事によって擬似的に光の反射を盛り込み情報量を増やす、って物ね。本来単色であるべき面の色に、光源情報を焼き込んだ塗装方とも言えるかもしれない。これは知り合いのゲーム関係の方曰く、3Dのテクスチャの作り方にそっくりだそうで。

    さてこのCM、どうにもあまり日本での認知が進んでいないような気がする。勿論海外モデラーで生み出された技法だから、伝達までのタイムラグという可能性は有る。大いにある。が、どうにも普段のテクニック伝播速度と比較して遅いように思えて仕方無い。しかも西洋においてもこの技法に対しての非難が随分ある。これは中々面白い事態なんじゃないか、とか又根拠の無い事考え始めて、何故考察を始めてみる。

    そもそも何故、これだけ新しい物/技法好きである筈の日本においてこの技法の伝達だけが著しく遅れ、また 広まらないのか、という事を考えてみる。一つ考えられるのは、この技法自体が、ラッカー中心の世界が構築されている日本では不必要、とまでは行かないまでも、酷く重要度の低い技法だから、ではないのか、という事。言い換えれば、日本のスケールモデル、特にAFV世界において、この技法自体が当たり前に行なわれており、いまさら名前を与えて独立した、特別な技法と為す必要が無いからでは無いのか、と思うわけで御座います。

    そもそもアーマーモデリング誌的スタンダードである、暗色から明色へと移って行く立ち上げ技法。この技法の仕上がりというのは、暗色を下に敷きそれを残しながら塗装して行く以上、必然的にグラデーションの情報を持った物になるわけで、広義のCM技法に含まれると言える筈。美少女フィギュアの塗装方もラッカー塗料の特徴である色の透過性を活かした物で、シャドウとハイライトを薄く吹き重ねて行く技法は、遂に日本的技法の究極たるレジン自体の色を活かしたサフレス塗装方まで行き着いた。これもシャドウ+下地の色+ハイライトのグラデーション情報を持たせているわけで、CMと言えない事もない。つまりラッカー塗料の透過性を用いた(スケールモデルに限らない)日本における模型塗装の技法は、成立した時点でCMを内包していた、だから日本ではそれほど大きく取り扱われないのではないか。

    翻って西洋の作風を見て、CM以前の塗装パターン、それも特にAFVに限った時には「単色から上に書き込んで行く」塗装法がベーシックであると見なせると思うわけ。つまりサフ→ベース→フィルタリング→チッピング/ウェザリング→オーバーコートという一方通行の技法。これがラッカーの塗装法と大きく違うのは、海外のファレホ/アンドレア/ハンブロールといった隠蔽力の強い塗料文化で生まれた技法である為、下地を透かせて、光源情報をどうこうするといよりも、寧ろ上に出来あがった物を書き込んで行く事に成立してるんじゃないかと言える。つまり、赤い面の上に青を置いて紫を作るのがラッカー系の考え方。最初から紫を乗せるのが海外技法。そう考えるとイメージしやすいんじゃないかと。

    で、カラーモジュレーション技法がビビッドだったのは、不透明な海外系塗料を仕様してるが故の、鮮烈かつ丁寧に「上から」重ねられたグラデーションなわけで。これを逆にラッカー系でやると、ボンヤリした、あまりCM的で無い仕上りになるか、或いは純日本的ながら下地の黒が無い分、白飛びしたような表現になっちゃうんじゃないか、と考えるわけです。

    そして以前にtwitter上で@caravanserai氏とCMについてあーだこーだやった際に考えたように、多分ラッカーでやったら意味無い技法なんだと思うんだよね。結局日本スタンダードが「塗料的に」難しい海外が、日本的仕上りを目指した結果編み出した技法であるような印象を受けるもの。

    実際日本みたいにラッカーorタミヤ二系統塗料で文化が構築されて、つい最近まで他の塗料の実態があまり広く知られていなかった、言わば塗料的にクローズドな模型文化だと、塗料の違いって軽く見られる事が多いけど、実は本当に大きいんだよ。これはハンブロールにほぼ完全なシフトをして、猫も杓子もハンブロールで塗ってるから言わせて頂くけど。勿論無茶をすれば出来ない事はまず無いでしょう。ただ、海外系塗料の隠蔽力でラッカー的仕上りを再現したければ、ラッカー的技法の模倣では無理。一から再構築して、リザルトだけを同じにするようにしないと侵しくなる。何故なら、技法が前提としている塗料の性質が違うから。

    だから結論として言うなら、ラッカー使ってんだったらCMがどうとか考えないで塗ったって、実は同じ事やってんよ。ちょっと見せ方が違うだけで、10年も前から日本のモデラーのスタンダードはそれだよ、と主張してみるわけです。逆に海外系塗料を使ってらっしゃるなら、一つの技法として意識して見ても良いんじゃないかと、と併せて主張してみるわけで御座います。

    まぁそのあたりのグダグダした事は、実はtwitter上で割と考察した事があって、@hiropon7氏がまとめて下さっているのでご覧下さいませ。(まとめ / @caravasnerai氏によるもうちょい美術的な考察)

    じゃあ、今日はここまで。


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